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Laforet 5月号

「身を横たえて眠る」 亀甲山教会牧師 平賀和弘
  ダビデは、「身を横たえて眠り/わたしはまた、目覚めます。/主が支えていてくださいます」(詩編3編6節)と神様への信仰を告白しています。しかし、これは、驚くべき告白でした。
 この詩は、ダビデが息子アブサロムの謀反に遭い、エルサレムの都を逃れた時に歌ったものだと言われています。アブサロムは父であるダビデを憎み、宮廷の重臣たちを味方にして、反乱を起こしました。裏切りにあったダビデは、どのような気持ちであったのでしょうか。自分の息子が自分を殺そうと命を狙っています。しかもいつ襲ってくるかわかりません。その失意は大きく、絶えず続く緊張感は苦しかったに違いありません。
 また、なぜ、アブサロムが謀反を起こしたのかといえば、ダビデ自身によるところもありました。ダビデは、多くの妻たちに多くの子を産ませたために、家庭内で様々な問題が引き起こされました。また、自分が姦淫を犯した引け目があったために、家庭内で起こった不法行為をうまく治めることができませんでした。ダビデ自身の罪の結果によってアブサロムは父を憎むようになり、謀反は引き起こされたと言うことができるのです。
 ダビデがエルサレムの都を逃れると情勢は大きく変化しました。今やダビデは王ではありません。アブサロムが王です。多くの人々が、アブサロムに味方するようになりました。人々の心はダビデから離れ、逃亡するダビデに石を投げる人もいました。ダビデは、失意と絶えず続く緊張感の中で、自分自身の犯した罪の結果に苦しみ、四面楚歌の状況にあり孤独であったのです。
 しかし、それでもダビデは、天を仰ぎ、神様を見上げました。そして、「主よ、それでも/あなたは私の盾、私の栄え/私の頭を高くあげてくださる方。主に向かって声をあげれば/聖なる山から答えてくださいます」(詩編 3編4−5節)と祈っています。
 ダビデのような状況に追い込まれた時、人は、眠ることも、目を覚まし、起き上がることも難しくなるのかもしれません。しかし、ダビデは、「身を横たえて眠り/わたしはまた、目覚めます。/主が支えていてくださいます」(詩編3編6節)と告白しています。敵がいつ襲ってくるか分からなくても、眠ることができました。また、状況は何一つ変わっていなくても、目覚めることができました。神様のお支えを信じたからです。私たちの眠りと目覚めを支えてくださる神様の御名を賛美します。