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Laforet 9月号

「一書の人」

9月は長いに月と書いて長月(ながつき)。今の10月上旬から11月上旬にあたるため、夜がだんだんと長くなる夜長月が転じて「長月」になったと言われます。暦の上では「立秋」から秋です。今年は8月7日から秋になっています。

さて、秋というと何を思いますか。私の中では、秋というと、「秋の夜長」読書です。皆さんは本を読むことは好きですか。私は書店巡りが大好きで、本を見ることも読むことも大好きです。

さて18世紀にイギリスで活躍したジョン・ウェスレーという人がいました。彼は弟や友人たちと共に、「メソジスト」と呼ばれるキリスト教のグループを作った人です。

このウェスレーは「キリスト者の完全」という本を著しています。この本の中でウェスレーは、「一書の人」ということを書いています。彼は、「一書の人」として、おもに聖書以外の何物をも顧みまいと定めていこうと決意した、というのです。でもそれは、聖書以外の本を読まないということではありませんでした。実際、ウェスレーは非常に多くの本を読みました。エピソードが残っています。当時の移動手段は馬。ウェスレーは馬に乗ってイギリス中を伝道しましたが、よく「手綱」を放して本を読んだと言われています。彼は年を取ってからも本棚のついた馬車で移動をし、その中でも読書をしていたそうです。本当に多くの本を読んだのでしょう。

では一書の人とはどのようなことを指しているのでしょうか。ウェスレーは、聖書しか読まないでなく、聖書を真理の唯一の基準とする、すなわち生活のすべての基準を聖書にしようとしたのです。

新約聖書マタイによる福音書4章4節で、イエス様は、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」と言っています。人は、生きるためにはパンも必要であるが、それ以上に、神の口から出る神の言葉を聞くこと、そして神の言葉によって生きることが大切であると語られたのです。ウェスレーはそれを実践しようとしたのです。

今書店に行くと多くの本が並び、毎日のように新しい本が出版されています。これまでどれほど多くの本が出版されたのでしょうか。ウェスレーは多くの本の中から聖書を選びました。あなたはどうでしょうか。あなたにとっての「一書」、あなたを生かす本を見つけることができたらどんなに素晴らしいことか。この秋の夜長、素晴らしい本と出会い、過ごしてみてはいかがでしょうか。