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La foret 8月号

「主において常に喜びなさい」 亀甲山教会牧師 平賀和弘

 「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」(フィリピの信徒への手紙 4章4節)

 北極圏に住むイヌイットは、極寒の地で暮らしています。場所によっては夏でも10度ぐらいで、夜は氷点下にまで下がります。また冬は、平均気温がマイナス20度ぐらいで、最低気温はマイナス50度を下回ることもあります。彼らの伝統的なライフスタイルは、だんだん変わってきているようです。しかし、極寒の地でずっと暮らしてきたイヌイットには、生きるためのさまざまな習慣や知恵が伝えられています。
 その一つが、「がんばろう」という言葉を口にしないことです。なぜイヌイットは「がんばろう」と言わないのでしょうか。それは、氷河などに形成された深い割れ目(クレバス)を飛び越えるとき、がんばると筋肉が硬直して飛び越えられないことがあるからだそうです。
 ではそんなとき、イヌイットは「がんばれ」と言わずに、何と言うのでしょうか。もちろん、罰を与えたり、脅したり、制裁を加えたりしてクレバスを飛ばせることはありません。そのようなことをすれば、ますます筋肉は硬直し、脳も萎縮して心の傷を負うことになります。イヌイットは冗談を言い合って笑い、リラックスしてから飛ぶのだそうです。
 聖書はこう語ります。「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい」(フィリピ 4章4節)。教会ではイエス・キリストが語られます。そして、私たちは喜んで、リラックスして、あらゆる困難を乗り越え、主の働きは前進していきます。
 「常に喜びなさい」と聞いても、無理です、喜べませんと思われる方もいるかもしれません。深く割れたクレバスを前にして、冗談なんて言ってられませんとおびえることもあるでしょう。しかし、神様は私たちに無理なことを求められません。「常に喜びなさい」の前に「主において」とあります。私たちは、主イエス・キリストを知ることによって、常に喜ぶことができるのです。