「神様の御業の力強さ」 亀甲山教会牧師 平賀和弘
「そして、シリア州やキリキア州を回って教会を力づけた。パウロは、デルベにもリストラにも行った。そこに、信者のユダヤ婦人の子で、ギリシア人を父親に持つ、テモテという弟子がいた。彼は、リストラとイコニオンの兄弟の間で評判の良い人であった。」(使徒言行録15章41節-16章2節)
パウロとシラスが、第二次伝道旅行に出かけたときのことです。彼らは、アンティオケアの教会を出発すると、シリア州やキリキア州にある既存の教会を回って、そこに集う人々を力づけました。そして、デルベやリストラも訪れます。
リストラは、第一次伝道旅行のときに、パウロがユダヤ人から石を投げつけられ、瀕死の状態になった場所です。そんな迫害の激しい場所を、パウロは再び訪れるのです。リストラに住む信仰の兄弟姉妹に会いたい、そして彼らを力づけたいと思ったからです。リストラに着いたパウロは、そこで、彼自身が命をかけて伝えた福音を受け入れた人々が、激しい反対にあいながらも、信仰を固く守り続けているのを目撃しました。パウロはどんなに嬉しかったことでしょうか。
またパウロは、そこでテモテという若者に会いました。テモテは、パウロが初めてリストラを訪れたときに、パウロが受けた苦難を目撃し、イエス様の働きに献身することを決心した人物です。パウロが再び訪れるまで、テモテは、評判の良い人物になり、パウロが一緒に伝道旅行に連れて行こうと思うほどに成長していました。
テモテは、ユダヤ人の母とギリシア人の父との間に生まれた混血児です。そのため、父親と母親の双方から、それぞれ違った影響を受けていたはずです。ギリシア人は異教徒です。また、ユダヤ人が異邦人であるギリシア人と結婚することは、信仰の妥協と考えられていました。しかしテモテは、そんなユダヤの人から不信仰だと思われるような家庭に育ちながら、イエス様の信仰を持ち、その信仰を固く守り続けたのです。
パウロたちの伝道活動の物語を読むと、神様の御業がいかに力強いかがわかります。まさかと思うような出来事を通して信じる人が与えられ、まさかと思うような状況の中で信仰を守り続けている人たちがいます。勝手に神様の可能性を狭めたり、あきらめたりすることなく、神様の大きな御手の業を信じて、私たちも主の働きに前進したいと思います。