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Laforet 7月号

「苦しんでいる人々に」 亀甲山キリスト教会 牧師 伊藤裕史

 旧約聖書の時代、イスラエルの人々は様々な苦難にあいました。それを助けるために、神様は預言者を通して人々を立ち返らせ、国を導こうとされました。そのうちの一人がホセアです。皆さんはホセアにどのようなイメージを持っておられますか。どうしてもホセアと聞くと妻ゴメルのことを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、神様はホセアに経験を通して、知ることの大切さ、それも頭で知る知識ではなく、体験を通して得る知識の大切さを教えられたのです。このホセア書をイエス様が新約聖書の中で引用されている箇所があります。
イエス様が多くの人たちと食事をしていた時のことです。イエス様は当時人々から嫌われていた徴税人(税の取り立て屋)や宗教的な罪を犯していた人々と一緒に食事をしていました。それを見た宗教指導者の人たちが、「なぜあなたはこのような者たちと食事をするのか」と咎めたのです。その時、イエス様は次のように言われました。
「イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」(新約聖書マタイによる福音書9:12,13)
この「わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない」という言葉はホセア書6章6節からの引用です。あえてイエス様がホセア書の言葉を引用されたのには意味があるのです。私たちキリスト教が救い主と信じるイエス様は、ただ良い言葉を残したのではありません。その言葉を実際に行い、実践して見せて下さったのです。イエス様は実際に人々が嫌っていた人達のところに行って、一緒に話をし、食事をされました。また病気の人、弱っている人の手を実際に握って力づけられたのです。人々はこれを見て非難しましたけれども、これこそが神様の本当の姿なのです。
私たちは今、大きな苦難を経験しています。学校に行っている人は長い休みを経験し、その失われた時間をこれから取り戻さなくてはいけません。働いておられる方は、生活そのものに影響が出ておられるでしょう。中には、将来に渡って人生設計が変わってしまっている人もいらっしゃると思います。誰もが大なり小なり苦しみを経験しているのです。神様はこのことを全てご存知です。神様はそのような人のところに実際に寄り添って下さり、励まして下さるのです。それが私たちの信じる神様なのです。