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Laforet 12月号

「いとちいさきもの」 亀甲山キリスト教会牧師 伊藤裕史
 皆さんは小さいものと、大きいものとどちらが好きですか。私たちは大きいものが良いものと考え、それに従ったり、それを追い求めたり、大切にしようとします。それが悪いことではないですが、聖書に「小さきもの」という言葉が出てきます。聖書の中で神様は小さいものも大切にするように勧めるのです。
今からおよそ2000年前に、イエス・キリストが「小さきもの」への配慮とその重要性を訴えたことは、当時の世界では驚くべきことでした。皆さんご存じのように旧約聖書の中で人口調査と言えば、労働力となる男性のみ。女性や子供は数に数えられていなかったのです。そんな世界で、神様は小さいものへ特別な関心を寄せておられることを示されたのです。
これからやって来るクリスマスの舞台であるイエス・キリストの誕生もそうでした。イエス様が小さな町の家畜小屋で、最も無力な赤ちゃんとしてお生まれになったのです。栄光ある姿でなく、人間として最も無力な姿で来られたことは驚きです。そしてこのイエス様の教えやたとえにも小さい者への配慮がいたるところに見られるのです。イエス様が人々を救いに導く思いを次のように言われています。
「そのように、これらの小さな者が一人でも滅びることは、あなたがたの天の父の御心ではない。」(マタイ18:14)
当時の人たちの考えで価値ある人だけでなく、どのような人をも救いたいという神様の思いがここに表されています。力あるもの、能力のあるもの、素晴らしい家柄、そんなことに関係なく、どんな小さい者でも救いたい、私たちの信じる方はそういう神様なのです。そのような神様の思いをイエス様は私たちに伝えようとこの地上に来られたのです。
この神様の思いは私たちへの救いにだけ向けられたものではありません。神様を信じる者がこのような思いを受け継ぐこと、私たちの間での関係もこの思いによって作られなければいけないと言われるのです。
「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイ25:40)
私たちは神様を愛するように「小さいもの」を愛していくこと、この神様のみこころを受け継がなくていけないのです。
今年はコロナの影響でこれまでとは違う1年でした。自分だけでなく、これまで以上に周りの人のことも考えていかなくてはいけませんでした。この12月、私たちは慌ただしく過ごすかもしれません。しかし、この季節は私たちが少し優しくなれる季節でもあります。「小さきもの」に心を向け、お互いに助け合い、新しい年を喜びをもって迎えていきましょう。