「アドベンチャー」 亀甲山キリスト教会牧師伊藤裕史
今年も12月に入り、残りわずかとなりました。教会では、11月ごろからクリスマスの準備に追われています。皆さんご存知のようにクリスマスは12月25日。イエス・キリストの誕生を祝う日です。そしてクリスマスまでの約一カ月は、教会の暦では「アドベント」と言われる、キリストの誕生を待ち望む期間、待降節となっています。私たちの教会はこの教会暦を採用していませんので待降節として過ごすことはありません。しかし、アドベントは、私たちの教会のことを示すアドベンチストと同じ語源を持った言葉です。またクリスマスはイエス様に注目が集まる時期。イエス様のことを紹介する絶好の機会でもあります。
このアドベントはラテン語で、「やってくる」「到来」を意味しています。何がやってくるのか。誰がやって来るのか。ワクワクしませんか。アドベントと同じ意味から造られたアドベンチャー(冒険)には、このワクワクする思いが入っています。人々がずっと待ち望んでいて、2000年前にやってきたのは、救い主、キリストです。待ち望んだ人々だけでなく、キリストもこの地上に来るときにワクワクしながらやってきたに違いありません。母マリアのおなかの中で、どこに生まれるのだろうか、どんな人と会うのだろうだろうか、ワクワクする、そんな思いだったはずです。
キリストがワクワクしながら生まれることを待っていた時、キリストの両親、ヨセフとマリアはもともとナザレという町に住んでいました。しかし、ローマの皇帝の命令によりダビデの町へ行かなくてはなりませんでした。そしてダビデの町ベツレヘムで生まれることになったのです。しかし、この時大勢の人が移動していたために、宿屋に泊まることができません。そんな時にイエス・キリストは生まれ、冒険が始まります。聖書は、キリストが飼い葉おけの中に寝かされたと伝えています。だから馬小屋で生まれたと言われるのです。キリストの冒険はこの飼い葉おけから始まったのです。病院でもなく、宿屋に泊まることもできず、貧しい飼い葉おけの中から出発でした。波乱万丈の始まりです。
「主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです。」(コリントの信徒への手紙第二8:9)
クリスマスの喜びあふれるこの時期、新約聖書の最初に書かれている、飼い葉おけから出発したキリストの、地上での波乱万丈の冒険に目を向けてみてはいかがですか。きっと皆さんはその冒険に目が離せなくなるはずです。
今年も残りわずか。皆さんの地上の冒険が守られますようにお祈りいたします。