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保護者クラス 2015年6月号

風景ではなく隣人として

何年か前に恵泉女子学園校長の安積力也先生の教育講演を伺ったことがあります。ご自身の体験に裏付けられた、大変示唆に富んだ教育についてのお話でしたが、その中で特に次のような言葉が胸に残りました。 「少し前まで、中高生にとっては、友達以外はみんな風景でした。しかし、最近は自分以外はみんな風景となったような気がします。」という言葉です。 少し極端かもしれませんが、今の時代を象徴している言葉のように思われて心が痛みました。 そう言えば、電車の中でお化粧をするとか、食事をするとか、少し前にはあまり見られなかった光景を目にすることが多くなりました。目の前に人がいても、まるで誰もいないかのような所作振る舞いは、確かに、自分以外はみんな風景になっていることの表れなのかもしれません。 人と交わり、人とつながる力、コミュニケーションの力が少し弱くなっていると言われています。その背景には、いろんなことが考えられると思いますが、「自分以外はみんな風景」といった、他者に関心を向けない、もっと言えば、他者との関わりを持とうとしない、自分中心なものの捉え方や生き方も、その根底にあるのではないかと改めて思ったことでした。 イエスは「隣人を自分のように愛しなさい」(ルカによる福音書10章27節)と言われましたが、子供たちの一人ひとりが三育小学校での様々な出会いと交わり、そしていろいろな学びと体験を通して、隣人を風景や物としてではなく、掛け替えのない人格として敬い、愛する、そのような心と眼差しを持った子として成長してもらいたいと心から願うものです。

亀甲山キリスト教会牧師 東海林正樹


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